グロービス経営大学院は、3月に「人生100年時代 新しい働き方と求められる能力」をテーマとした特別講演を開催したが、第2部では「これからの企業に求められる働き方、経営の考え方」をテーマとしたパネルディスカッションが行われた。
パネルディスカッションの参加者は、経済産業省の伊藤禎則参事官、メルカリ取締役社長兼COOの小泉文明氏、サイバーエージェント取締役・人事統括の曽山哲人氏。モデレーターは同大学院の田久保善彦研究科長が務めた。
翔泳社が運営する教育ICT(EdTech(エドテック))の専門メディア、「EdTechZine」はパネルディスカッションの内容について、以下のように報じた。

サイバーエージェントの曽山取締役によると、同社では「才能開花」をキーワードとして人事に取り組んでいるという。「才能開花」を実現するための具体策として、「裁量権」、「配置」、「決断経験」をあげている。
同社では、社員に裁量権を与え、大きな仕事に取り組ませることで経験を積ませる。社員を「才能開花」させるために、適切な部署への配置も重視している。
さらに、社員の才能を伸ばすために、「決断経験」ができる環境をあえてつくっているという。
これらの方策を組み合わせながら、サイバーエージェントでは社員の才能開花を図っている。
経済産業省の伊藤参事官によると、適切な人材育成とは、リーダーとプロフェッショナルの両方の人材を育成することだという。また、人材育成に時間とコストをかけることによって、企業がうまくいきやすいそうだ。
また、同参事官は、企業における現状の問題として「修羅場を経験できる機会が少ない」ことをあげた。修羅場経験ができる機会が減少した一例として、同参事官は子会社の売却が進んでいることをあげた。
例えば、子会社トップを経験することによって、否が応でも修羅場に直面することになるが、見方を変えれば、修羅場を経験することによって問題を克服する能力の向上が期待される。
同参事官は、あえて修羅場をつくり出す経営が今後重要になるとの考えを示した。
メルカリの小泉社長は、働き方改革を実践することが企業にとって必要なことなのか、という角度から眺めることについて言及した。
現在は、働き方改革を実施しなければならない、という風潮があるものの、同社長によると、社会や社員に迎合するための働き方改革は意味を成さないという。
むしろ、企業の存在意義や企業で働く意味、そして、企業が置かれている状況についての考え方を社員と共有し、そのうえで何をするべきか、という観点から働き方改革に取り組むべきとの考えを示した。
働き方改革を成功させるためには、「なぜ働き方改革を行う必要があるのか」ということに着目し、企業や、企業で働く社員によって有効と言える改革を行うことが必要と言える。
(画像は写真ACより)