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2018-06-30 18:06

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政府推進も広がりの鈍い副業容認、企業側の理由トップ3とは

働き方改革で容認姿勢推奨を強めるも、依然認めぬ多くの日本企業

人生100年時代を迎え、ひとつのキャリア、一社に定年まで勤めるという従来の働き方から、より長いライフプランでとらえた複数キャリアの形成が必要という考え方や、少子高齢化に伴う労働人口の減少など深刻化する人材不足に対応しながら生産性向上を図り、社会経済の持続的成長を実現させるといった観点から、積極的に副業・兼業を取り入れる向きが強まっている。

政府も「働き方改革実行計画」の中で、副業・兼業の推進に触れ、労働者の健康確保には留意が必要としつつも、その普及促進を図るとし、副業・兼業容認へと切り替えるよう求める動きをみせている。

これを受け、一部の大企業などでは容認事例も出てきたが、依然副業・兼業を認めていない企業は多い。2014年の中小企業庁の調査では、副業・兼業禁止の企業が85.3%、2017年に実施されたリクルートキャリアの調査でも禁止企業が77.2%にのぼった。最新の2018年における管理職を対象としたアデコの調査でも、自社企業で副業・兼業を認めているのは23%、禁止しているケースが66%となっている。

なぜこれほど副業容認の動きは広がりにくいのか。企業がなぜ副業・兼業を禁止するのか、その理由から考えてみたい。

本業への影響や情報漏洩リスクを懸念

先述した2017年のリクルートキャリアによる調査で、副業・兼業を認めていない企業を対象に、その理由を複数回答可で回答してもらったところ、「社員の長時間労働・過重労働を助長する」からが圧倒的に多い55.7%でトップとなった。次ぐ2位は「情報漏洩のリスク」の24.4%で、3位は「労働時間の管理・把握が困難なため」の19.3%となっている。

労働災害発生時の「本業との区別が困難」という声や、「競業となるリスク、利益相反につながる」といった声も多く、主には、容認することで本業に支障をきたすと懸念されていることが分かった。また、外部や競合他社への情報漏洩を不安視する向きも強いようだ。

同じく先に挙げた2018年のアデコによる調査結果もみてみよう。こちらは勤務先が副業・兼業を禁止している管理職にその理由を尋ねている。1位は「社員の長時間労働や過重労働を助長してしまうから」の29.9%で、2位は「情報漏洩のリスクがあるから」の27.8%、3位は「労働時間の把握や管理が困難だから」と「競業となるリスクや利益相反につながるから」が同率の27.5%だった。

いずれの調査もほぼ同じ結果で、長時間労働などで本業の活動にも関わる悪影響が発生しやすくなると考えられること、それを防ぐ勤怠管理がそもそも困難であること、そして重要な秘密情報や技術、ノウハウなどの漏洩リスクが上昇すること、この3点に主な理由が集まっているといえる。

このほか、直接調査結果には現れていないが、投資して人材育成を図った社員なのだから、自社で忠節を尽くし、最後まで働いてほしいという終身雇用を基本とした日本的な企業慣行・思想も、副業容認が広がらない背景として、しばしば指摘されるところだ。

こうしてみると、企業側の考えも一定程度は理解できる。だが、成長戦略として副業・兼業の導入を訴える国は、イノベーションの促進やより優秀な人材の育成、確保なども見込んで、経済成長につながると考えている。

副業・兼業を行うことで、新たなアイデアや視点が生まれやすくなり、画期的な新事業の創出が促されたり、一社の環境では得られなかったスキルを身につけ、キャリアアップした社員が増えたりと、より優秀な人材を効率よく分け合えるようになる、社員も高いモチベーションのもと、いきいきと働いて、なおかつ収入面も恵まれたものになると見込まれているのだ。

変わりゆく時代背景を考えれば、副業・兼業はリスクよりもメリットを企業と労働者の双方にもたらし、ひいては社会全体の成長にも寄与するといえるのではないだろうか。

(画像はプレスリリースより)

外部リンク

株式会社リクルートキャリア 「兼業・副業に対する企業の意識調査」(プレスリリース)
https://www.recruitcareer.co.jp/news/20170214.pdf

アデコ株式会社 「副業・複業に関する調査」
http://www.adecco.co.jp/

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