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2018-07-18 08:07

働き方

働き方改革関連法案対策は大丈夫? 働き方改革の進め方(経営者編)

はじめに

2018年6月29日、参院本議会で「働き方改革関連法案」が成立しました。安倍晋三首相が「戦後の労働基準法制定以来70年ぶりの大改革」と称する本法案は、働く方ひとりひとりが、よりよい働き方を選択し、よい生き方を歩んでいくことを願って作られた法案です。

今回は、働き方改革関連法案施行に向け、企業がどのような対応をとるべきか、実務上の方針をまとめました。

第1回は企業経営者(社長、取締役、執行役員など)が、働き方改革関連法案について経営の視点から実務担当とともに何を推進すべきか、をまとめています。

すでに働き方改革関連法案をご覧になって各種対策を推進されている企業のご担当も、対策はこれからという方も、ぜひチェックリスト代わりにご活用下さい。

関連記事
・働き方改革推進のためのチェックリスト(人事・労務・総務編)
・働き方改革推進のためのチェックリスト(マネジャー編)

いつまでに何をすべきか

時事ドットコムニュースが、働き方改革関連法案の対応方針一覧にしています。1つ1つを確認していきましょう。
参考記事:【図解・行政】「働き方改革」関連法案の概要(2018年4月)
※大企業、中小企業で施行時期が異なりますのでご注意下さい

残業時間の上限規制
時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とするものです。

有給取得の義務化
有給休暇が年10日以上ある労働者に、5日以上の休暇取得を取るよう企業に義務付けるものです。

勤務間インターバルの設定
終業時間と翌日の業務開始までの時間を、一定時間確保する制度です。

割増賃金率の猶予措置撤廃
中小企業に対して緩和されていた割増賃金率が撤廃されます。

産業医の機能強化
労働者の健康維持のため、産業医への相談ができる体制を強化するものです。

同一労働同一賃金
同じ労働に対して、雇用形態の別によらず、同じ賃金を設定するものです。

高度プロフェッショナル制度
高収入の専門的な労働者に向けた労働制度を新規に定めるものです。

まずは法令順守の徹底を

「働き方改革関連法案」は、国が定める法律です。法令に準拠しない場合は、法令違反となり処罰の対象となる、という前提のもと、推進していく必要があります。

企業の経営者、役員の方々は以下が求められます(実務面は、関連記事の「人事・労務・総務編」で紹介します)。

1:体制作り
まずは、働き方改革関連法案対応のための体制を作りましょう。

社長や人事本部長が主体となり、タスクフォース・専門家招集・推進体制・必要会議体を組成するのがよいでしょう。タスクフォースを組成して、すべてのステークホルダーを巻きこみましょう。関係者を巻き込み、人事制度、システム、内規の変更を推進していくことが、制度の致命的な抜け漏れ防止と関係者の当事者意識の醸成につながります。

まずは最初の1か月で影響調査をすませ、対応策につき弁護士、会計士、社労士、産業医などと検討を重ね、規則・システムにおける要件に落としていくことが求められます。

2:規定・システム・業務の見直しと予算取り
体制ができ、タスクフォース・専門家による影響調査が終わったら、実業務を推進していきましょう。

表面的な対応として一番大きいのは、規定・システム・業務の見直しかと思います。就労規則をはじめとした社内規定の変更は、関連役員はもちろんのこと、関連監督庁への報告義務を伴いますので、早め早めの対応を取りましょう。続けて、システムの変更も重要です。

特に残業時間の見直しは、勤怠管理のシステムに大きな影響を及ぼします。開発が施行まで間に合わない場合に備えて、情シス担当や外部の開発会社と十分な余裕をもったプロジェクトマネジメント、開発が間に合わなった場合のワークアラウンド(代替手段)の検討を進めましょう。

これらと平行して、業務の見直し、タスクフォースを通じた予算どりを進めましょう。

3:関係者周知
タスクフォースの関係者で合意したことを定期的に関係者に共有していきましょう。

現場の方は現場業務に忙殺されています。働き方改革関連法案や推進プロジェクトに対する無言の抵抗もあるでしょう。

法令順守という前提だけでなく、社員1人1人の働き方を改善するためのプロジェクト、という大義を伝えていきましょう。

生産性の向上・風土の変革が必要

働き方改革関連法案を通じて、労働者の方が働きやすい環境を整備することはとてもお重要なことです。他方で「それでは現場はまわらない」という抵抗もあるでしょう。

そのような抵抗は、制度の形骸化を招くことになり、法令違反につながる恐れも否定できません。ですので、健全に働き方改革を進めるには、法令順守の対応に加えて、生産性を担保していくための改善活動が必要です。

今までの生産性を担保するためには、1. 生産性を向上させることと、2. 働き方の改善と生産性の改善の両方が推奨される風土の醸成の両方が必要です。

1. 生産性を向上させる
生産性を向上させることが常態化できていない企業であれば、まずは徹底的な生産性向上のための取り組みを併行させましょう。短期的には専属のコンサルタントを雇い、バリューチェーンやプロジェクトの改革を推進してもかまいません。

ただし、結局は社員の日々の努力の積み重ねによる生産性向上が中長期的な価値の向上を生み出していきます。
事業構造・組織にあったカイゼン活動を別のタスクフォースとして発足させる、管理職単位で改善活動に推進してもらい、四半期ごとに表彰していく、など、具体的な形に落としていきましょう。

2.風土を変える
20年前「24時間働けますか」というCMが一世を風靡しました。しかし、今は「24時間働くと法令違反」となる時代です。働き方は時代時代によって変わっていかなければいけません。

今の時代にあった働き方を提示するのは、経営者や管理職の仕事です。時代や法令に応じて、新しい働き方や企業の貢献の仕方は変わってきます。

その中で自らがどのようなビジョンと戦略を打ち出していくのか、その時にどのような制度を用意するのか、社員のどのような行動を評価し、罰するのか、経営者・管理職が自ら打ち出していく必要があります。

まとめ

経営レイヤーにある方々は、働き方改革関連法案において、文字通り社員の働き方を本質的に変革させることが求められています。まずは体制作りからはじめ、正しい法令順守対応を徹底すると同時に、生産性向上や風土作りに挑戦していくことになるでしょう。

次回は、「人事・総務・労務」の実務に携わる方の視点で、働き方改革関連法案とどのように向き合っていけばよいか、をご紹介します。

関連記事・外部リンク

・働き方改革推進のためのチェックリスト(経営者編)
・働き方改革推進のためのチェックリスト(人事・労務・総務編)
・働き方改革推進のためのチェックリスト(マネジャー編)
・【図解・行政】「働き方改革」関連法案の概要(2018年4月)

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