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2018-09-05 08:09

働き方

副業を届け出制にする!?企業のメリットと考えておきたいこと

副業を届け出制にする!?企業のメリットと考えておきたいこと

前回、「副業の始め方」「副業を始める時の注意点」を労働者の目線でご紹介しました。

労働者が副業を行う場合、重要となってくるのはその後の対応ですが、企業側としても副業を行う時に気を付けておきたい点はたくさんあります。

今回は企業側の目線で、従業員が副業を始めた時の注意点についてご紹介していきます。

変化が求められる企業の姿勢

現在副業を認めている企業は数少ないとは言っても、今後増加していくことが考えられます。
副業については政府も容認姿勢であり、副業を希望する従業員も就業者全体に占める割合が年々増加しているためです。

就業規則等で副業規則を禁止している企業も多くありますが、実はそれだけの理由で社員を解雇することはできません。過去に副業に関して起こった裁判の事例においても、副業をしているという理由だけで解雇することはできない、というのは明らかとなっています。

副業・兼業が理由となって従業員が解雇されるのは、以前政府が副業を推進する理由でも触れたように、下記のような場合となります。

「①労務提供上の支障となる場合
②企業秘密が漏洩する場合
③起業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
④競業により企業の利益を害する場合」
引用:モデル就業規則(第14章第67条)

これらを思い返したところで、過去の裁判事例を確認してみましょう。
裁判事例からは、副業・兼業をしていても解雇とならなかった事案、副業・兼業が理由で解雇となった事案を確認することができます。

【副業・兼業をしていても解雇とならない事案】
「・東京都私立大学教授事件(東京地判平成20年12月5日)
 教授が無許可で語学学校講師等の業務に従事し、講義を休講したことを理由として行われた懲戒解雇について、副業は夜間や休日に行われており、本業への支障は認められず、解雇無効とした事案。

・十和田運輸事件(東京地判平成13年6月5日)
 運輸会社の運転手が年に1、2回の貨物運送のアルバイトをしたことを理由とする解雇に関して、職務専念義務の違反や信頼関係を破壊したとまでいうことはできないため、解雇無効とした事案。」
引用:副業・兼業の促進に関するガイドライン

【副業・兼業が理由で解雇となった事案】
「・小川建設事件(東京地決昭和57年11月19日)
 毎日6時間にわたるキャバレーでの無断就労を理由とする解雇について、兼業は深夜に及ぶものであって余暇利用のアルバイトの域を超えるものであり、社会通念上、会社への労務の誠実な提供に何らかの支障を来す蓋然性が高いことから、解雇有効とした事案。

・橋元運輸事件(名古屋地判昭和47年4月28日)
 会社の管理職にある従業員が、直接経営には関与していないものの競業他社の取締役に就任したことは、懲戒解雇事由に該当するため、解雇有効とした事案。」
引用:副業・兼業の促進に関するガイドライン

本業に支障を来さない副業・兼業であることが認められた場合、裁判所の判決において解雇が無効となることが分かりますね。

こうした点から、今後企業に求められる対応としては単に副業・兼業を禁止するのではなく、社員の労務管理という観点から「届け出制」とすることと考えられます。

届け出制にするとどうなる?企業側のメリット

副業・兼業を届け出制とすることは、本業の企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

〇副業・兼業でのアクシデントも比較的容易に把握できる
会社側が従業員の副業を把握していない場合、従業員が副業・兼業で万が一のトラブルにあった際、会社側が把握・対応できないことがあります。それは会社にとって大きな打撃になることもあるでしょう。
届け出制としていれば、副業をしている従業員側としても副業に対して後ろめたい思いがないため、何かあった際も社員とスムーズな連携を取ることが可能です。

〇社員が労働基準法内で勤務していることを確認しやすくなる
前回、副業・兼業に従事している時間にも労働基準法は摘要されるということをご説明しました。
つまり、会社としては本業の時間だけではなく、副業・兼業の時間を鑑みた上で従業員の労務調整をする必要があるのです。
こうした点を考えると、どの程度の時間をどのような勤務内容に割いているか、という点を会社側が把握しておくことは大きなメリットになります。

もちろん、会社側が従業員の副業を把握していない場合に限り、労働基準法の違反にはなりません。しかしながら、マイナンバー制度の導入等により副業・兼業をしていることが分かりやすくなってきていることから、万一のことを考えると、きちんと届け出てもらい、届け出の内容に応じた調整をするというのがベストな対応と言えるのではないでしょうか。

従業員の副業・兼業で考えたい、企業の体制

では、従業員の副業・兼業を届け出制とする場合、会社側はどのような点を把握しておくと良いのでしょうか。

【会社側が知っておきたいこと】
・副業・兼業先の職種
・副業・兼業先での就業時間の把握
・従業員の健康状態
  ※届け出提出時だけではなく、綿密なコミュニケーションが望ましい
・職務専念義務への影響の有無

最低限、上記のような点は届け出の際に確認しておきたいものです。

一方で、会社側としても、従業員への配慮は必要です。
例えば、「競業」の定義は非常に曖昧であるため、感覚的なものとならないよう、会社としての取り決めをしておくとトラブルになりづらいでしょう。業種を制限するのであれば、副業可能な業種を明確にしておくこと、もしくはNGである業種を明確にしておくことが重要です。
また、副業・兼業を行う際に従業員一人ひとりが注意しておかなければならないことも公表するなど、副業・兼業を認める際の条件を提示しておくこともおすすめです。提示した条件を遵守するという前提での副業・兼業を認可することが企業としても一定の作業としての認可を進めやすいためです。

こうした規定では制限しづらいものが「秘密保持義務」です。
業務において知りえた情報や今後の方針、また会社独自の技術などを外部に漏らすことはもちろんあってはなりません。しかしながら、業務をしている上で個人に身に付いたスキルについてはこの限りではない、と考えられています。
線引きが分かりづらい部分でもありますが、従業員とのコミュニケーションを通じて防いでいく体制を考えることも大切であると言えるでしょう。

まとめ

従業員が副業・兼業をすることは個々人のスキルアップにつながり、会社にとってプラスに作用することが考えられます。

まずは従業員の副業を管理する、という観点から、必要な制度を整えていってみてはいかがでしょうか。”

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