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2018-09-11 18:00

働き方

創業100年パナソニックが挑む複業・留職はどうなる?

パナソニック
個人を育てる新たな働き方改革
今年3月に創業100周年を迎えたパナソニック株式会社が、働き方改革を推進する新たな取り組みを進めている。労働時間や就業形態といった直接的なものにとどまらない制度として注目されるユニークな試みで、その目玉は「複業」と「留職」だ。社内組織風土改革の一環として推進し、意欲ある個人をサポート、より多様な価値観やスキルをもった人材の育成を目指す。

「複業」は、同社社員が社内で現在の部署に籍を置いたまま、別の部署での役割も担当し、掛け持ちで働くというもの。係長級以上の社員が対象で、最長1年間の兼務を行う。既存の部署割りにとらわれず、自らの主体的なキャリアプランに基づき、多角的な知見やスキルを身につけられるようにする。

大企業であるがゆえ、近年は過度に分業・専門化が進んでいる面もあることから、部署間の柔軟な行き来を制度として設けることにより、流動性を高め、これまでにないアイデアの創出や技術開発にもつなげたい狙いがある。同社が例として、デザイン部門と技術部門の兼務などを第一に想定している点は、このことをよく示しているだろう。イノベーティブな企業環境が求められる今日、こうした取り組みは競争力を維持するため、不可欠なものともいえる。

中身はかなりシビアな世界?
一方の「留職」は、“留学”をもじったもので、入社4年以上、現部署での就業が1年以上となっている社員を対象に、自社とは異なる企業風土をもった別の企業へ一定期間、本人の希望に基づいた派遣を行う。期間は1カ月から1年間を想定している。

事業規模や経営手法、価値観などが異なる環境で、自社にとどまっていては身につけられないスキルやノウハウ、ものの見方を獲得してもらうことを狙いとする。グローバル感覚を養うため、海外への事業展開を行っている企業や団体に社員を派遣するといった“留職”を行う企業もあるが、パナソニックの場合、国内外やグローバル性などは問わず、あらゆる領域を対象にしている点が特徴的だ。

自社とは異なる環境を海外留学環境になぞらえ、自由な創造力・発想力や環境変化に対する順応力・対応力も鍛えられるようにした仕組みといえる。

公募制で募集を開始したところ、幅広い年齢層・部署の社員から応募があり、まずは5人に絞り込んで制度をスタートさせているという。身につけたいとするスキルやキャリア形成の希望をもとに、コンサルタント会社などを通じ、派遣先となる企業とのマッチング調整が行われているそうだ。

企業全体としての活性化と人材の育成・確保を目指しながら、意欲ある個人が主体的に動くキャリアアップを支援していこうという制度の導入で、働き手にとっても魅力的な改革ととらえられるが、一方でひとつのキャリアによる終身雇用モデルは崩れ、道は自分で探し開拓していかなければならないのだという現代社会の厳しさを反映したものでもあるだろう。

あくまでも本人の希望による制度だが、社会に取り組みとして広がったとき、そろそろ他社に“留職”してみては?と上司が暗に迫る、新たなリストラのかたちになりかねないと懸念する向きもある。

複業と留職によるパナソニックの改革が今後どのように進むのか、これからの働き方を考える上でも注目されるだろう。

(画像はパナソニック株式会社ホームページトップより)
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