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2018-09-28 17:09

働き方

10.変革への課題(教育機関・企業・政府)

変革への課題(教育機関・企業・政府)

今後100年時代を生きていく中で私たちが選択できる人生、シナリオ、ステージがすでに変わり始めている部分もあるが、これから変わるべきことも多いです。本章では、自己意識、教育機関、企業、政府という4つの観点から今後行うべき対応について述べさせていただきます。
まず、自己意識についてです。

自己意識は一人一人の選択と価値観が人生の出来事やステージや移行の順序を決め、それによって築かれているものです。今までの3ステージの人生であれば連結性と継続性のあるアイデンティティを保つことは比較的容易でありましたが、マルチステージの人生では、100年以上にわたり、アイデンティティを維持し、人生の様々なステージに一貫性を持たせることは難しいです。その長すぎる時間を使い、自らの価値観や希望に沿った生き方ができるようになれば長寿化する時代においてこれ以上の恩恵はないでしょう。

逆に言えば、自分の希望通りの生活ができない上に、長く生きるために働き続けなけらばならないとなると、長寿化は喜ばしいものではなくなります。意味のある長寿の人生にするためには、自分の希望通りの生活を送ることが必要なのです。

100年以上にわたって生産的に生きる人生を設計するためには、計画と実験と習熟が重要になります。長い人生で経験する変化によって有形資産や無形資産を破壊されないためには、計画して準備することが欠かせません。また自己像を検討するためには実験を行う必要があり、長い人生を生きる上で何かに打ち込むことは重要です。100年時代では、計画・実験・習熟を後押しする事の重要性が高まります。

今までの時代では生きられる年数が短かったため、生産的に生きるためにはどうしたらよいのかということはあまり考えられていませんでした。考えなくても、ある程度満足のいく人生を送ることができる人が多かったためです。しかし、長寿化の時代になると、しっかりと生産的に生きるためにどうしたらよいのかを考える必要があるのです。考えていない場合、いつか困ることになるでしょう。考えておけばよかったと後で気づいても遅く、取り返しがつかないことがあります。そうならないためにも、あらかじめ考えておく必要があります。そして考えた結果、しっかり行動することが大切です。例えば無形資産をつくるために家族や友人と過ごす時間を増やしたり、有形資産のお金をどのように稼いでいくためにスキルを磨いたりするということです。しっかりと考えておくことで長寿化の時代を有意義に過ごすことができるでしょう。

次に教育機関についてです。
長い人生では学習と教育が一層重要になり、それに多くの時間を費やす人が増えます。そのような新しい状況において保守的な産業である教育産業はテクノロジーのイノベーションと長寿化の進行により大きな脅威にさらされるでしょう。今後教育業界は、マルチステージの人生のニーズに応えつつ、成長著しい新しい教育サービスに負けないために絶えず対応に追われることになるでしょう。そのため教育業界はその都度必要とされているものは何なのかを探し続ける必要があります。

次に企業についてです。
長寿化によりライフスタイルが変われば、企業と個人の関係は変わり、様々な改革が必要となるでしょう。そのような改革を実践するにあたって企業の人事部門の制度や手続きに一大改革が必要です。しかし、企業は標準化されたプロセスが好まれる傾向があり、変革には抵抗があると考えられる。ただ、この問題はテクノロジーの進歩により解決され、標準化を放棄して、多様な働き方に対応できるようになると予想されます。企業がこのような変化を遂げるためには、さまざまな障害を乗り越える覚悟が必要とされます。

次に政府についてでです。
人々の生活の環境を作るのは政府の政策であり、政府がすべきことは多いです。ただ、人々が人生の再設計を成功させるためには、政府による法制度の再設計が不可欠です。政府は変化をしていくでしょうが、その歩みは遅いと考えられます。一つ一つしっかり考える必要があり、審査に時間がかかるためです。法制度の後押しは数十年かけて行われようやく変化に適応できるようになる可能性が高いでしょう。

以上が様々な観点から見た今後の課題です。教育機関企業・政府の遅い対応の下で長く生きるのでしょうか?著者たちが思うに変化の担い手は企業でも政府でもなく私たちなのです。今までは自分で考えることはあまりなく、考えていても行動を起こさない人が多かったのですが、今後はそうはいかないでしょう。多くの人が行動を起こし、議論することで生まれるのは新しいロールモデルではなく、柔軟性と個人の自由を求める思いが人々に共有されるようになるのです。そのように行動を起こす個人・集団の実験を通じて、一人一人の個性や多様性が奨励され、称賛されるようになります。こうして人々は多様な働き方や生き方を選べるようになり、それが100年ライフの果実を生むのです。

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